職場で享受できる福利厚生に関する日本とインドの違いは、以下の6点に簡潔にまとめられる。
1.労働災害保険の適用範囲と補償内容
日本:すべての労働者(農業・家事労働者を含む)を対象としており、職業性疾病や過労死も補償の対象となる。
インド:従業員20人以上の工業企業のみが対象、農業と商業は除外、補償率が低い(受傷前賃金の2/3のみ)、実施に遅れがある。
2.有給休暇と健康保護
日本:年次有給休暇(10日以上)、業務上の負傷に対する有給病気休暇、時間外労働の厳格な制限(月45時間以下)、リハビリ治療に国民皆保険が適用される。
インド:休暇制度の実施が不十分、非正規部門は保証されないことが多い、医療資源に偏りがある、過重労働の問題が顕著である。
3.安全教育と企業の責任
日本:企業向けの研修制度が充実しており、新入社員や特殊な職種は資格取得が必要で、政府が技術支援を行っている。
インド:中小企業向け訓練への投資不足、非正規部門の従業員の安全知識不足、建設業などでの事故率の高さ。
4.規制の実施と罰則
日本:厳格な独立労働検査、違反に対する高額の罰金(最高約2億円、1億ルピーに相当)、事前の予防に重点を置く。
インド:規制資源が不十分、農村部や非正規部門における検査が少ない、罰則が軽い、炭鉱やその他の産業における事故率が国際水準よりはるかに高い。
5.高齢労働者と社会的支援
日本:高齢労働者の職場環境を最適化し(補助器具の助成など)、職場復帰を支援するリハビリテーション制度を完備する。
インド:高齢従業員や労働災害のリハビリテーションに対する支援が弱く、資源が都市部に集中し、農村部では保護が不十分。
6.給与格差
日本:基本給は300万円~600万円、月給は40万円~60万円程度。
インド:製造業の技術職や、安全生産などの技術職の給与は年収100万ルピー前後で、比較すると日本職の給与は高い水準にある。